在英エンジニアのイギリス転職/キャリアコーチブログ

日本で6年働いた後に、イギリスの現地企業へ転職して働いています。海外を目指す日本人へ向けたキャリアコンサルティングをしています。

MENU

サステナブルな未来へ 日本とイギリスのSDGs事情

SDGsって何?復習しよう

SDGsの基本概要

SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年に国連総会で採択された「持続可能な開発目標」の略称です。この目標は、2030年までに達成すべき17の大目標と169の具体的なターゲットから構成されています。SDGsは、貧困の撲滅、地球環境の保護、全ての人々に平和と繁栄をもたらすことを目的としています。これらの目標は、全ての国が取り組むべき共通の課題を包括的にカバーしており、発展途上国だけでなく先進国もその対象としています。

例えば、SDGsの目標1は「貧困をなくそう」であり、これは全ての形態の貧困を終わらせることを目指しています。目標13は「気候変動に具体的な対策を」であり、地球温暖化を抑えるための緊急行動を促しています。こうした目標は、互いに関連し合い、包括的にアプローチすることが求められています。

SDGsの17の目標

SDGsは以下の17の目標から構成されています:

  1. 貧困をなくそう:全ての形態の貧困を終わらせる。
  2. 飢餓をゼロに:飢餓を終わらせ、食料安全保障を達成し、栄養状態を改善し、持続可能な農業を促進する。
  3. すべての人に健康と福祉を:全ての人が健康な生活を享受し、福祉を推進する。
  4. 質の高い教育をみんなに:全ての人に包摂的で公平な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。
  5. ジェンダー平等を実現しよう:男女平等を達成し、全ての女性と女児のエンパワーメントを図る。
  6. 安全な水とトイレを世界中に:全ての人に水と衛生のアクセスを確保する。
  7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに:全ての人に安価で信頼でき、持続可能で現代的なエネルギーを提供する。
  8. 働きがいも経済成長も:持続可能な経済成長と全ての人に働きがいのある仕事を提供する。
  9. 産業と技術革新の基盤を作ろう:持続可能な産業化とイノベーションを促進する。
  10. 人や国の不平等をなくそう:国内および国家間の不平等を減少させる。
  11. 住み続けられるまちづくりを:都市と人間居住を包摂的、安全、強靱で持続可能にする。
  12. つくる責任つかう責任:持続可能な消費と生産のパターンを確保する。
  13. 気候変動に具体的な対策を:気候変動とその影響に立ち向かうための緊急対策を講じる。
  14. 海の豊かさを守ろう:海洋と海洋資源を持続可能な形で保全し、利用する。
  15. 陸の豊かさも守ろう:陸域生態系の持続可能な利用を促進し、森林を持続可能な形で管理し、砂漠化に対処し、土地劣化を止め、逆転させ、そして生物多様性の喪失を防ぐ。
  16. 平和と公正をすべての人に:平和で包摂的な社会を促進し、全ての人に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルで効果的、説明責任のある包摂的な制度を構築する。
  17. パートナーシップで目標を達成しよう:持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバルパートナーシップを活性化する。

SDGsの重要性

SDGsは、全世界の共通目標として、国際社会全体が連携して取り組むべき課題を明示しています。例えば、僕の場合、イギリスに移住してから、地域コミュニティでの環境保護活動に参加することで、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献しています。SDGsは、個人、企業、政府がそれぞれの役割を果たすことで、持続可能な未来を築くための重要な指針となっています。


SDGsの目標達成のために行なっていること 日本とイギリスの違い

日本での取り組み

1. リサイクルと廃棄物管理

日本では、リサイクルと廃棄物管理が非常に進んでいます。各自治体が厳格な分別ルールを設けており、リサイクル可能な資源を効率的に再利用しています。例えば、プラスチック、金属、紙、ガラスなどの分別が徹底されており、地域ごとに決まった日に収集されます。僕が日本に住んでいた時も、このリサイクルシステムのおかげで、ゴミの減量とリサイクル意識が高まったと感じました。

2. 再生可能エネルギーの導入

日本は、エネルギーの供給源として再生可能エネルギーの導入を進めています。特に東日本大震災以降、再生可能エネルギーの必要性が強調され、太陽光発電や風力発電が急速に普及しました。政府は、2030年までに再生可能エネルギーの割合を22-24%に引き上げる目標を掲げています。これにより、二酸化炭素排出量の削減とエネルギーの自給自足が進められています。

3. 持続可能な農業の推進

日本では、持続可能な農業を推進するための取り組みも行われています。例えば、有機農業の普及や、農業と環境保全を両立させるための技術開発が進められています。また、地域の農業団体が地産地消を推進し、地元の食材を使った食育活動も盛んです。こうした取り組みは、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」や目標12「つくる責任つかう責任」に貢献しています。

イギリスでの取り組み

1. プラスチック削減の取り組み

イギリスでは、プラスチック削減に向けた取り組みが進んでいます。政府は、使い捨てプラスチック製品の使用を減らすために、プラスチック製ストローや綿棒の販売を禁止しています。また、スーパーではプラスチック袋が有料化され、多くの消費者が再利用可能なバッグを持参するようになっています。僕もイギリスに移住してから、日常的にエコバッグを使うようになりました。

2. グリーンエネルギーの普及

イギリスは、再生可能エネルギーの導入においても先進的です。特に、風力発電が急速に普及しており、世界最大のオフショア風力発電所がイギリスに設置されています。また、政府は、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げており、これに向けた様々な政策が実施されています。例えば、電気自動車の普及やエネルギー効率の高い建物の建設が推進されています。

3. 食品廃棄物の削減

イギリスでは、食品

廃棄物の削減に向けた取り組みも重要視されています。政府や企業が連携し、食品廃棄物の削減を目指すキャンペーンやプログラムを実施しています。例えば、スーパーやレストランでの食品廃棄物を減らすために、賞味期限の管理やフードバンクへの寄付が奨励されています。僕もイギリスで生活していると、こうした取り組みによって食品の無駄を減らす意識が高まっていると感じます。

日本とイギリスの違い

日本とイギリスでは、SDGsの目標達成に向けた取り組みがそれぞれの国の特性に応じて行われています。例えば、日本ではリサイクルと廃棄物管理が非常に徹底されており、地域ごとに細かく分別が行われています。一方、イギリスではプラスチック削減に重点を置いており、使い捨てプラスチック製品の規制が厳しくなっています。

また、再生可能エネルギーの導入についても、日本は太陽光発電を中心に進めているのに対し、イギリスは風力発電を主軸にしています。これにより、それぞれの国の自然環境や地理的条件に適したエネルギー政策が展開されています。

さらに、食品廃棄物の削減に関しては、イギリスでは企業や政府が積極的にキャンペーンを展開し、社会全体での取り組みを推進しています。日本でも同様の取り組みが行われていますが、イギリスのような大規模なキャンペーンは少ないかもしれません。

SDGsの知名度の違い

日本とイギリスでは、SDGsの知名度にも違いがあります。日本では、政府やメディアが積極的にSDGsを推進しており、多くの企業や学校でもSDGsに関する取り組みが紹介されています。例えば、テレビ番組や新聞記事で頻繁に取り上げられ、一般市民の間でもSDGsの認知度が高まっています。僕が日本に帰省した際にも、街中でSDGsのロゴや関連イベントを目にすることが多くありました。

一方、イギリスでは、SDGs自体の知名度は日本ほど高くないかもしれませんが、環境保護や社会的責任に関する具体的な取り組みが進んでいます。例えば、気候変動対策やプラスチック削減のキャンペーンは広く認知されており、多くの市民がこれらの活動に参加しています。僕が住んでいるエリアでも、SDGsという言葉を聞くことは少ないですが、実際にはSDGsの目標に関連する取り組みが多く行われています。


SDGsのこれから

SDGsの目標達成率と現状

SDGsの目標達成に向けた進捗は、国や地域によって異なりますが、全体的にはまだ多くの課題が残されています。国連の報告によれば、いくつかの目標においては一定の進展が見られる一方で、特に気候変動や貧困、飢餓の問題においては進捗が遅れているとされています。

例えば、SDGsの目標1「貧困をなくそう」については、世界中で貧困率の低下が見られるものの、新型コロナウイルスの影響で再び貧困層が増加しているという課題があります。また、目標13「気候変動に具体的な対策を」については、多くの国がカーボンニュートラルの目標を掲げていますが、実際の温室効果ガスの削減は遅れているのが現状です。

しかし、これらの課題に対処するための取り組みは続けられており、各国政府、企業、市民が協力して目標達成に向けた努力を続けています。国際社会全体が連携し、具体的な行動を取ることで、持続可能な未来を築くことが期待されています。

これからの世界の変化

SDGsの取り組みが進む中で、世界はどのように変わっていくのでしょうか。以下に、いくつかの予想される変化を紹介します。

1. 環境意識の高まり

SDGsの取り組みによって、環境保護や持続可能な生活に対する意識がさらに高まると予想されます。例えば、再生可能エネルギーの普及が進み、家庭や企業でのエネルギー消費がより効率的でクリーンなものになるでしょう。僕がイギリスで感じるのは、すでに多くの家庭が太陽光発電パネルを導入し、エネルギー自給自足を目指していることです。

また、プラスチック削減やリサイクルの取り組みが強化されることで、廃棄物の量が減少し、より持続可能な消費行動が広がるでしょう。これにより、海洋プラスチック問題や埋立地の問題が緩和されることが期待されます。

2. 社会的包摂と平等の進展

SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標10「人や国の不平等をなくそう」に向けた取り組みにより、社会的包摂と平等の進展が期待されます。例えば、女性の社会進出が進み、労働市場における男女平等が実現されることで、経済全体が活性化するでしょう。僕が参加しているコミュニティでも、女性のリーダーシップが評価され、より多くの女性が積極的に社会貢献を行っています。

また、貧困層やマイノリティの支援が強化されることで、全ての人が平等な機会を享受し、より包摂的な社会が築かれることが期待されます。これにより、教育や医療へのアクセスが改善され、全体的な生活水準の向上が図られるでしょう。

3. 持続可能な経済成長

SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」や目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」に向けた取り組みにより、持続可能な経済成長が促進されます。例えば、グリーンテクノロジーやクリーンエネルギー分野への投資が拡大し、新たな産業が生まれることで雇用が創出されます。僕が住んでいる地域でも、再生可能エネルギー関連の企業が増え、多くの雇用が生まれています。

また、デジタル技術の進展により、リモートワークやオンライン教育が普及し、場所にとらわれない働き方や学び方が一般化するでしょう。これにより、労働市場の柔軟性が高まり、人々がより働きやすい環境が整います。

私たちの生活の変化

これらの変化により、私たちの生活も大きく変わるでしょう。例えば、環境意識の高まりにより、エコフレンドリーな製品やサービスが増え、日常生活の中での選択肢が広がります。僕自身も、イギリスで生活している中で、再利用可能な製品やエコフレンドリーなサービスを積極的に利用するようになりました。

また、社会的包摂の進展により、多様性が尊重される社会が築かれ、全ての人が平等に機会を享受できるようになります。これにより、コミュニティ全体の連帯感が強まり、共に支え合う社会が実現されるでしょう。

さらに、持続可能な経済成長により、新たな仕事や学びの機会が増え、個人の成長と発展が促進されます。これにより、私たち一人一人が自分の可能性を最大限に発揮し、より豊かな

生活を送ることができるでしょう。

SDGsは、私たちの未来をより持続可能で豊かなものにするための指針です。これからも、SDGsの目標達成に向けた取り組みを続けることで、世界全体がより良い方向に進んでいくことを期待しています。


まとめ

SDGsとは何か?

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから成る包括的な枠組みです。貧困撲滅、地球環境の保護、全ての人々の平和と繁栄を目指しており、全世界の共通目標として各国が取り組んでいます。

日本とイギリスのSDGsへの取り組み

日本では、リサイクルと廃棄物管理、再生可能エネルギーの導入、持続可能な農業の推進といった具体的な取り組みが進められています。これに対し、イギリスではプラスチック削減、グリーンエネルギーの普及、食品廃棄物の削減が重点的に行われています。また、SDGsの知名度については、日本の方が政府やメディアの積極的な推進により高まっているのに対し、イギリスでは具体的な取り組みが進んでいるものの、SDGsという言葉自体の認知度は低い傾向にあります。

SDGsのこれからと私たちの生活

SDGsの目標達成に向けた取り組みが進むことで、環境意識の高まりや社会的包摂の進展、持続可能な経済成長が期待されます。これにより、私たちの生活もエコフレンドリーな製品やサービスの利用、多様性が尊重される社会、新たな仕事や学びの機会の増加といった形で大きく変わるでしょう。SDGsは、私たち一人一人が持続可能で豊かな未来を築くための指針であり、その目標達成に向けた行動が求められています。

この記事を通じて、SDGsの基本的な理解から日本とイギリスの取り組み、そして未来への展望について共有しました。これからも、私たち一人一人がSDGsの達成に向けてできることを考え、行動していくことが重要です。