在英エンジニアのイギリス転職/キャリアコーチブログ

日本で6年働いた後に、イギリスの現地企業へ転職して働いています。海外を目指す日本人へ向けたキャリアコンサルティングをしています。

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海外転職:CVから面接、ビザまでのいきさつを全公開します

今回のエントリーでは、31歳の時に日本の会社員からイギリスの企業に転職し、新たな地で挑戦を始めた僕の経験談をご紹介します。

イギリスへの移住を決めた背景や、そのために踏み出した具体的なステップについて、簡潔に自己紹介を交えながらお伝えします。

この記事を要約すると、

  • 普通の会社員から一歩を踏み出し、キャリアアップを目指して転職活動を開始。目指していた企業からの面接を経て、ついにはオファーを獲得。
  • オファーを受け取ってからの3か月間は、まさに大波乱。仕事の引継ぎや退職手続き、英語の試験、ビザの申請、引っ越し準備と、人生で最も忙しい時期を経験しました。
  • そしてロンドンへの到着。ロンドンアイから望む景色を眺めた瞬間、新たな生活が始まったことを実感しました。

転職活動を始めるまで

新卒からの数年間、僕は日本のある大企業とその後スタートアップでエンジニアとして働いていました。普通の仕事人生を送っていたわけですが、キャリア6年目にして海外での勤務を志すに至りました。別段、目立ったスキルがあるわけではなく、ただのエンジニアでした。

特に、英語は僕にとって大きな壁でした。その時点での英語力は決して高くなく、むしろコンプレックスを感じていました。そこで、まずは英語を集中的に学び、自信をつけることからスタートしようと決めました。(英語の学習過程については、別記事で詳しく触れています。)

目標としていた英語のスコア(IELTS6.0はイギリスのビザ取得に必要な最低ライン)をクリアできた後、ついに転職活動に踏み出しました。その半年後には、自分がイギリスのオフィスで働いているなんて想像もしていませんでした。

CVの準備

 

転職活動において、ぼくが目指したのは自分の能力を存分に発揮できるスタートアップ企業でした。そのため、探し始めたときに特に苦労することはありませんでした。そして、目をつけたのはイギリスに拠点を置くあるスタートアップ企業でした。

その企業の採用ページを確認したところ、まるで自分にオーダーメイドされたような職位が募集されていました。「これは運命だ!」と直感し、どうしてもその企業に入社したいと強く願うようになりました。

振り返ってみれば、もっと多くの企業に応募してもよかったかもしれませんが、当時はたった一社への応募でもぼくにとっては大きな挑戦であり、余裕がありませんでした。

海外の企業に応募する際、ぼくが心がけたのは「完璧な履歴書を作成する」ことでした。履歴書(CV)は、「curriculum vitae」の略で、自分の経歴や成果を詳細に説明するための書類です。特に学術的なポジションに応募する場合には、研究成果などを詳細に記述し、数十ページに及ぶこともあります。

ぼくはそこまでの履歴書を作成することはありませんでしたが、約4ページにわたり専門分野、達成したプロジェクト、保有資格やスキル、そして論文リストなどを網羅し、ビジュアル面にもこだわって提出しました。後になって聞いたところ、ぼくの履歴書は非常に評価されたそうです。

一方で、他の海外転職者はLinkedInを活用し、スキル評価を受けながら多数の企業に応募しているようです。しかし、ぼく自身はLinkedInをはじめとするSNSを一切使用していません。それでも、履歴書だけで採用を勝ち取ることができましたので、現在転職活動をしている方々も、必要なスキルと能力があれば安心していいと思います。

面接

 

履歴書を送った後、数日で返信があり、面接の段階に進みました。

最初の面接は、現在のマネージャーとの一対一でした。30分程度の間に、履歴書に基づいていくつかの質問がされました。緊張のあまり英語が上手く話せなかったのですが、自分の知識と自信を持っている部分を明確に伝え、アピールすることに集中しました。

数日後、「一次面接合格」という嬉しい知らせが届きました。その時期が年末だったため、二次面接は年が明けてからとなりましたが、面接の準備として技術的な課題が出されました。その課題は、日本の大学院入試のような物理学の計算問題を含むなど、かなり高度なものでした。この課題を通じて、求められている能力がより明確になりました。

僕のモットーは「課題があれば、それを120%で返す」なので、年末休暇を利用して課題に集中しました。直接的な回答だけでなく、その問題に関連する自身の経験や、計算結果を検証するためのシミュレーションをプログラムするなど、さらに一歩踏み込んでスキルをアピールしました。全て口頭で説明する自信がなかったため、伝えたいことはすべてプレゼン資料にまとめました。

最終面接では、社長、マネージャー、別部門のマネージャーの3人が参加しました。同じ会議室にいる3人全員から話を聞くのは難しかったですが、準備した資料を時間内に要点をまとめて説明し、可能であれば残りの資料も見ていただきたいとお願いしました。質疑応答では英語の理解が難しかったものの、何とか凌ぎ、結果を待ちました。

1週間後、メールで採用通知が届きました。その時は涙が出るほど嬉しかったです。すぐに返信し、オファーを受け入れました。

これが僕の転職が決まるまでの経緯です。これは2022年1月中旬のことでした。

ビザの申請

転職が決まったあと、怒涛の日々が始まります。なかでも一番不安だったのがビザの申請です。3月末までに、ビザの申請・受理・発行まで完結しないといけないからです。

しかも、ビザの申請なんて人生で一度もしたことがないし、コロナ禍で身近に最近ビザを申請した人もいない。ネットの情報もあるものの、厄介なことに、イギリスは数年前にブレグジットした影響で、システムがここ数年でガラッと変わり、ネットの情報も古いものは役に立たず。。。

仕方がないので、一度ビザ申請のコンサルティング会社に1時間1万円ほどで話を聞かせていただき、必要な書類やスケジュール感を確認しました。値段は張りましたが、これがなかったら、準備に自信が持てず、途中で心が折れていたかもしれません。(ちなみに、その会社にビザ申請の代行をお願いすることもできたのですが、ウン十万の費用がかかるとのことだったのでさすがにやめました)

ビザの申請の詳細についても、今後別の記事で紹介したいと思いますが、主に用意した書類の一覧だけこちらで紹介します。

  • 企業からのスポンサーシップ証明書

  • パスポート

  • 戸籍謄本(専門の英語翻訳が必要)

  • 銀行の残高証明書(専門の英語翻訳が必要)

  • 銀行の取引明細書(専門の英語翻訳が必要)

  • 英語のスコア証明(IELTSで提出)
  • 上記に加え、ビザの申請代と、イギリスの国民健康保険にかかる費用

上記の通り、いくつかの日本語で発行される証明書は、専門の英語翻訳業者にお願いして翻訳をしてもらう必要があります。これも業者によって値段や納期がぜんぜん違い、なにが正解かわからなかったので、ぼくは念のため複数の業者に並行してお願いして、期限に間に合うよう万全を期しました。

さらに、書類をすべて準備した上で、まるで迷宮のようなイギリス政府のホームページから自分の該当するビザの申請ページに辿り着き、何十ページもある申請項目を間違わずに入力しないといけないという難題をくぐり抜け、なんとか申請が完了しました。このときばかりは発狂しそうになりました。

退職

ビザ申請と並行して、会社の退職手続きもしました。

正直、ビザの申請が上手くいくのかどうかが本当に不安だったので、本当に退職しちゃって大丈夫かな、4月から無職になったらどうしよう、、なんていう不安もありましたが、さすがに退職手続きをしないわけにはいかないので、意を決して退職届を課長や人事部へ送信しました。

また、お世話になったいろんな人から励ましの言葉をいただいたり、会社の同期が送別会を開いてくれたりと、本当に周りに支えられた6年間だったことをつくづく実感しました。幸い、これからも働く分野は変わらないので、これからも一緒に切磋琢磨していけることを願っています。

ついでに、少額ながらきちんと退職金も出たので、それで引っ越し費用などがある程度賄えたのは良かったです。

引っ越し

いきなりイギリスに行くことになったので、大慌てて家具の処分、荷物の輸送の準備をしました。これも、ネットでいろいろ情報を調べた結果、日系の運送業者の海外引越パックでお願いしました。値段はそれなりでしたが、サービスはとても良かったです。(現地についてからも、日本人が対応してくれました)

イギリスへの荷物の輸送は、船便で送ることが一般的です。僕の場合、大した荷物はなかったのもの、本だけは大量に持ち込む必要があり、船便だと重さではなく体積で値段が決まるので、その点は助かりました。

ただし、コロナ禍で船輸送の需要がかつてないことになっているということで、到着がいつになるか読めないと言われました。半年以上かかる可能性も、と。なので、仕事に必要になる本や書類などは、できるだけスキャンして電子化しなければならず、夜な夜なスキャンする作業をひたすらするのが辛かったです。

ちなみに実際は、3月中に送って、6月に現地に届いたので、良かったです。

渡英

飛行機に乗ったときにようやくこれまでのすべての疲れが出たのか、ここで初めてぐっすり休むことができました。転職活動を始めた12月からの、怒涛の4ヶ月。これを乗り切ったことは本当に自分にとって良い経験になりました。

イギリスに着いたあとは、数日ロンドンを見て回りました。初日に乗ったロンドンアイからの景色を見て、「本当に着いたんだ…」と感慨にふけっていました。

これでぼくの海外転職活動から渡英までのいきさつを終えます。

最後までお読みいただきありがとうございました。